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社会問題・ソーシャルビジネス・SDGsに関する日本の論文を探せる検索サイトまとめ

社会問題・ソーシャルビジネス・SDGsに関する日本の論文を探せる検索サイトまとめ

こんにちわ。ソーシャルビジネスを日本に広めたい南(@minami_shiroInc)です。

私はソーシャルビジネスを開発するため、解決したい社会問題の要因を探る時に論文をよく読む。

よく使っている、社会問題・ソーシャルビジネス・SDGsに関連する論文を探せる検索サイトを紹介する。

ソーシャルビジネスに関わらずビジネスでは「課題の解像度を高める」ことが大事すぎる

私たちが考える社会問題が解決されつづける人の和

ソーシャルビジネスに限らず、ビジネスを創っていく上で、最初に重要なのが「課題の解像度を高める」ことだ

ソーシャルビジネスで解決したい社会問題(「日本の子どもの貧困」などの抽象度)に直面している人(人以外の生物)のペインや欲している状態を細かく把握していく必要がある。

(とても大変なアクションだけど、ここ間違えるとソリューションもはまらなくなる……)

つまり、「誰のどのような課題を解決するのか?」の問いに対するアンサーの精度を高めていく。

たとえば、バリュープロポジションを検討する際につかう、Customer Profileで以下の3点を考えてみる。

  • Customer Jobs:顧客が解決したい課題
  • Gains:顧客が喜ぶこと・得られること
  • Pain:顧客が悩み・抱えている痛み
customer Profile

Customer Profileを使って、社会問題に直面している人の課題などを把握するために、できることは以下のようなアクションだ。

  • 書籍を読む
  • 論文を読む
  • 当事者に聞く
  • 当事者の知り合いに聞く
  • 当事者の親族に聞く
  • NGOの詳しい人に聞く
  • NPO法人の詳しい人に聞く
  • 大学教授など研究している専門家に聞く

「聞く」アクションを実行するためには、聞けそうな方を探す・聞けそうな方にヒアリングの場をつくれないか相談する・日時を調整するなどのサブアクションも絡む。そして、何よりも、いきなりヒアリングしにいくよりかは、事前に仮説を立ててからヒアリングしにいくようにしよう

当事者の方に聞きにいく場合は特にだが、「あまり人に話したくないようなことを話そうと決意する」のはかなり思い切った決断であり、心底感謝すべき姿である。それにも関わらず、当日会いにいって、アバウトな質問だけで終わったり、相手の心を傷つけてしまうような聞き方をしてしまったりするのは最低であり、聞き手が求める成果にも繋がらないだろう。

私はヒアリングしにいく前に、顧客が抱えている痛みや得たいことなどの仮説を立てるために論文をよく読む

現地調査に基づいた論文もあるので、事前に仮説を立てるのに役立つ。

そこで、私がよく使っている論文を探す検索サイトをまとめておく。

社会問題・ソーシャルビジネス・SDGsに関する論文を探せる検索サイトまとめ

社会問題・ソーシャルビジネス・SDGsの特定の領域に関する情報、ターゲット(力になりたい相手)の課題、問題の構造を読み解くために必要な論文を探せる検索サイトを紹介していく。

※紹介しない医学に特化していたり、海外の論文にフォーカスしていたりする論文検索サイトもあるが、本記事では取り扱わない。

論文探すならまずは「CiNii(NII学術情報ナビゲータ[サイニィ])」

Cinii(出所:CiNii Articles)

シンプルなユーザーインターフェースで、とても論文を探しやすいのがCiNiiだ。

日本国内の論文を横断的に探せるので、まずはCiNiiで特定の社会問題に関連するキーワードで検索して論文を探してみるのがおすすめ

CiNii(出所:CiNii Articles「子どもの貧困」検索結果)

ちなみに、CiNii Articlesでは論文を探せて、CiNii Dissertationsでは博士論文を探せられる。

より詳しいCiNiiの説明は、「CiNiiパンフレット」にまとめられていたので、気になる人は目を通してみよう。

私は、大学時代に「子どもの貧困連鎖をレジリエンスで解消できないか?」の問いに対する研究をしていたが、とてもCiNiiにはお世話になったものだ。

分野別に論文探せる便利な「J-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)」

J-STAGE(出所:J-STAGE)

J-STAGEは、日本国内の科学技術情報に関する論文などを検索できるサイト。

J-STAGEの詳しい使い方は「J-STAGEの利用方法」にまとめられている。

  • 哲学、宗教
  • 環境学
  • 人類学、史学、地理学
  • 法学、政治学
  • 経済学、経営学
  • 社会学
  • 心理学、教育学

といった分野別に論文を検索できるので、とても使い勝手がよい。

気になるテーマをメールで届けてくれる「Google Scholar」

Google Scholar(出所:Google Scholar)

生活していく上で欠かせなくなったGoogleが提供している「Google Scholar」は、Googleアカウントと連携しているため、論文を保存できたり、登録したキーワードに関連する最新の論文をメールで届けてくれたりとかなり便利。

私は、日常で関心あるテーマの論文がないかをチェックするために、Google Scholarを愛用している。

また、Chromeの拡張機能で「Google Scholar ボタン」が用意されており、Google検索している時に、「あ、このキーワードでの論文はどんなものがあるだろう?」て思った際にすぐ探せるので、とてもありがたい。

論文著者の解説記事がみれる「論文navi」

論文navi(出所:論文navi)

論文naviは他の論文検索サイトとちょっと違った点のある論文検索サイト。

論文の著者が、論文を解説した記事が大量に保存されている。

論文を読むことが苦手な方は、解説記事から読んでみるのもいいかもしれない。

サイトの読み込み速度遅い点がちょっと残念ではあるが、ざっくり論文の内容を把握したい際に使えるサイトだ。

論文は読むの大変…読む前に5つの問いを思い出して回答を探す感じで読むといいのではないか?

論文検索サイトで求めてたドストライクな論文を見つけられたとしても、論文を読むのは慣れてないと心が折れる……。

そのため、私は、論文を読む前に以下の5つの問いを思い出して、問いに対する回答を探すように論文を読むようにしている。

  • 何を明らかにしたい研究なの?
  • どのような技術や手法を使って研究したの?
  • 先行研究と比べて何がすごい?
  • 何を明らかにできたの?できなかったの?
  • 関連している論文なに?次に読んだ方がいい論文どれ?

あと、私的にはPCやスマホではなく、紙に印刷して論文を読むのがおすすめだ。

PCやスマホだととにかく目が疲れる……。紙だと気軽にすばやくマーカー引けたり、メモできたりするので良い。

(ま、iPadなどでもできるので個人のやりやすさに任せる)

ちょっと余談だが、ソーシャルビジネスを開発しようとした際に、解決したい社会問題の要因構造を把握する上でいくつもの論文を読むことになるだろう。

となると、管理する必要もでてくる。以下のような、管理ツールがあるので、自身にあうものを使うのも一つの手だ。

私が好きなのは、Paperpileである。

Googleドライブを普段使い倒しているので、Googleドライブと同期してくれるのがとてもありがたい。

みのんさんの「Googleと相性抜群の文献管理ソフト「Paperpile」の魅力と使い方 [図解解説付き]」にPaperpileについて詳しくまとめられていたので、興味ある方はぜひ見ておこう。

アカデミックとビジネスの両輪

ソーシャルビジネス開発には、アカデミックな知見が必要になってくる。

そもそもの社会問題の要因構造を読み解いたり、ソリューションのあり方を熟考したりする際に、学術的視点が欠かせない。

とはいえ、お金の動きがデザインされたビジネス視点も必要。

つまり、アカデミックとビジネスの両輪でソーシャルビジネスをデザインしていくしかない。

そのためには、論文を読みあさるのも必要になってくるのだ。

(慣れるまで大変だが……)

ABOUT ME
南 翔伍
南 翔伍
株式会社SHIRO 代表取締役。「貧困・虐待・非行の原体験 × ソーシャルビジネス経験」で社会問題解決に挑戦しつづける / 大学時代NPO法人と立ち上げた団体で貧困と障害をテーマに100名以上の子ども達を支援 / デジタルマーケティングのベンチャー企業での修行後、発達障害者支援をするソーシャルカンパニー、Web上で被害者と弁護士をつなぐリーガルテック企業でマーケティング責任者・事業統括マネージャーを務める / ソーシャルビジネス/社会的責任マーケティングに関する講演・ワークショップをしつつ、プラットフォームとWebメディアのグロースに専念