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【SDGs目標1】貧困をなくそう~世界と日本の貧困実態~日本政府の貧困対策とは?

貧困をなくそう

こんにちわ。ソーシャルビジネスを日本に広めたい南(@minami_shiroInc)です。

日本でもあらゆる専門家・活動家・メディアによって「貧困」という言葉がようやく認知されはじめているかと思われます。

私自身も(相対的)貧困家庭に生まれ、経済的・精神的・人間関係的にとてつもなく苦しい思いをしてきました……。

その体験談も交えながらSDGs目標1「貧困をなくそう」の内容や世界と日本の貧困の現状、貧困に対する日本の取り組みなどを伝えていきます。

人によっては仕事や家事などで忙しくて「他人の貧困のことなんて考えてられない!」と思っている人もいるかと思います。

ですが、同じ日本で暮らしている人の中にもなかなか理解されずに言葉にしきれないような苦しみに耐えながら生きている人もいます。

3分だけお時間をいただけないでしょうか?

本記事を通して、ちょっとだけでも貧困で苦しんでいる人の気持ちや状況が伝わったらうれしいです。

興味ないところはどんどん読みとばしていただいて構いませんので、ざっと目を通してくださるとうれしいです。それでは、お話していきます。

SDGs目標1「貧困をなくそう」の内容とターゲットとは?

SDGs(持続可能な開発目標)の目標1「貧困をなくそう」の主な内容は以下のとおりです(*1)。

  • 世界から極端な貧困状態をなくし、貧しく厳しい状況で暮らす人たちの数を半分以下にする。
  • すべての人たちに最低限の生活水準を保障する社会保護制度を整える。
  • 性別や社会的地位に関わらず、経済的資源等に対する同等の権利を保障する。
  • 自然災害や、経済・社会環境の突然の変化から受ける打撃からの回復力を高めるための施策を施す。
  • 国際、地域、各国レベルで貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略とその実現のために必要な資金や政策を整備する。

また、これらの問題の背景にあることは以下のとおりです(*1)。

  • 世界で約8億3,600万人、途上国の約5人に1人が極度の貧困(1日1.25ドル未満で生活)状況にある。
  • 紛争の影響を受けやすく国家基盤が脆弱な小さな国は、貧困率が高い傾向にある。
  • 全世界の5歳未満の子どもの4人に1人が、年齢に見合う成長に達していない。
  • 開発途上国において、貧困層の多くが自然災害の影響の大きな地域で脆弱な環境で生活している。

1日約136円あたりで生活している人が世界に約8億3,600万人いる現状。日本だと缶コーヒー1杯分のお金で生活していることになります。

※2019/10/16 13:16 外国為替レートで日本円に換算しています

あなたはこの現状に対してどう思いますか?

何か感想や意見があればコメントや問い合わせで届けてくださるとうれしいです。

目標1「貧困をなくそう」のターゲット

目標1の対象であるターゲットは、以下のように定められています。

・1.1

2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

・1.2

2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる。

・1.3

各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。

・1.4

2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、全ての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。

・1.5

2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。

・1.a

あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。

・1.b

貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。

貧困には2種類ある「絶対的貧困と相対的貧困」

あなたは「貧困」と聞くとどんなイメージを持ちますか?

食べる物がない、着る服がない、住む家がないといったことでしょうか?

実は貧困には2種類あり、絶対的貧困相対的貧困といわれるものです。

絶対的貧困と相対的貧困

日本人が想像しやすい貧困は「絶対的貧困」。一方で、問題がみえにくい貧困が「相対的貧困」です。

SDGs目標1の内容でお伝えした1日1.25ドル未満で生活している人は絶対的貧困状態になっています。「国民の所得の中央値の半分未満」で生活している人は相対的貧困状態です。

日本では「世帯年収122万円以下(*2)」だと相対的貧困であると判断されます。

※基準値は年によって変化します

この相対的貧困はなかなか周囲にわかってもらえず、日本で深刻な問題になっています。

たとえば、私も相対的貧困家庭に生まれ、物理的・精神的虐待を受けて育ったのですが、小学生の頃、お金がなくて友達の誘いをどうしても断らざるをえないことが多々ありました。

友達からすると「あいつノリ悪い」とおもい私をどんどん仲間ハズレにしていきました(決してその友達が悪いって訳でもないです)。

学校や地域から孤立するようになり、誰にも心を開くことができず、むしゃくしゃした思いを夜の街で発散していた時期もありました。

お金がないことから始まり、心を許せる存在がいない(孤独になる)、生きる意欲がなくなっていく、いじめにあうといった問題に発展していってしまうのです……(子どもの貧困の実態)。

日本政府の貧困に対する取り組み

平成25年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が公布されたり、子供の未来応援国民運動を開始したりと日本政府も貧困をなくすためのアクションをしています。

貧困世帯への支援は大きくわけると4つ。

  1. 教育の支援
  2. 生活の支援
  3. 保護者に対する就労の支援
  4. 経済的支援

それぞれについて解説していきます。

日本政府が実施する子どもの貧困対策①教育の支援

家庭の経済状況にかかわらず、すべての子どもたちが学ぶチャンスを得られたり、能力を向上できたりするためにあらゆる教育支援を実施しています。

たとえば、児童養護施設や生活保護世帯の子ども達への学習支援や給付型奨学金制度の整備などです。

私もこれらの教育支援を受けられたこともあり、国立大学に進学することができ、夢を諦めずにすむことができました。本当に感謝です。

詳しい取り組みは「子供の貧困対策の推進 文部科学省」をご覧ください。

日本政府が実施する子どもの貧困対策②生活の支援

日本政府が実施する子どもの貧困対策②生活の支援

生活の支援には、ひとり親家庭の子供への学習支援、家計を相談できる制度などの制度が用意されています。

私も行政と連携して、ひとり親家庭の子どもに学習支援を実施していたのですが、学ぶ楽しさに気づいてくれたり、学習のあいまに親や先生に相談できなかったことを相談してくれたりと有意義な取り組みだなと実感していました。

詳しい取り組みは「生活保護・福祉一般 厚生労働省」をご覧ください。

日本政府が実施する子どもの貧困対策③保護者に対する就労の支援

ハロートレーニング

保護者に対する就労の支援には、ハロートレーニングと呼ばれる希望する仕事に就くために必要なスキルや知識を習得できる制度が用意されています。自立支援センターも設けられており、自立に向けた多様な支援が用意されています。

日本政府が実施する子どもの貧困対策④経済的支援

経済的支援には、児童扶養手当の支給、養育費に関する相談ができる養育費相談支援センターなどの制度があります。

私の家庭も母が申請し、児童扶養手当を支給してもらっていたのですが、毎月10万円ちょっとの収入で私含めた2人の子どもを母は育てる状況だったのでかなり助かっていました。

詳しい取り組みは「母子家庭等関係 厚生労働省」をご覧ください。

貧困をSDGsビジネスで解決しようとしている企業の事例

貧困をSDGsビジネスで解決しようと邁進している日本企業をご紹介します。

今回ご紹介するのは、アパレル品や雑貨品などの法人専門在庫処分サービスを展開している株式会社Shoichiです。

在庫処分法人専門shoichi

ShoichiさんがSDGs目標の1つ目である「貧困をなくそう」の達成に向けて展開しているSDGsビジネスは「日本で出た廃棄商品を他の国に届けて販路を拡大する」です。

日本の衣料品や雑貨の在庫を販売する「TASUKEAI SHOP」をカンボジアやベトナムなどのアジア諸国で運営しています。

日本の貧困をなくすために誰でもできること

貧困をなくすために誰でもできること

貧困をなくすために誰でもできることは4つあります。

  1. 解決策を話し合う
  2. 寄付をする
  3. ボランティアに参加する
  4. 貧困のことを知って伝える

貧困対策①:解決策を話し合う

貧困をなくすための解決策を話し合うイベントに参加したり、知人や友達と話し合ったりして、あなたなりに貧困をなくすための方法を考えることができます。

また、Re:melosマガジンを運営しているSHIROは、社会問題をビジネスで解決するアイデアをディスカッションできるプラットフォームを開発中です。2020年にβ版をローンチしますので、ぜひとも使っていただき、貧困をなくすための方法を全国のみなさまで話し合えればと考えています。

貧困対策②:寄付をする

政府が取り組んでいる「子供の未来応援国民運動」や「日本財団」など日本の貧困をなくすために動いている団体に寄付をすることも一つの貢献です。

NPO法人キッズドア認定NPO法人PIEPIECES認定NPO法人フローレンスなど多様なNPO法人も日本の貧困に対して本気で取り組んでいます。応援したいNPO法人に寄付してみてください(^^)

貧困対策③:ボランティアに参加する

各種団体が貧困をなくすために実施している活動にボランティアとして参加することも貢献の一つです。

などNPO法人、NGOなどの団体のボランティア募集情報を探せるサイトがあるので、日本の貧困をなくすために何かしたいと思われる方は使ってみてください!

貧困対策④:貧困のことを知って伝える

さいごに、SDGsや日本の貧困について認知されつつありますが、まだまだ知らない人がいるのが実情です。

Re:melosマガジンなどで知ったことを家族、学校や職場の人などに伝えてください。一人ひとりの小さなアクションが積もれば、大きなインパクトになると考えています。

ぜひあなたの近くにいる人にそっと伝えていただけるとうれしいです。

まとめ

SDGs目標1の内容やどのような人を助けようとしているのか、世界と日本の貧困の実態などをお話してきました。

やはりまだ、自分とは程遠い話に聞こえるかもしれません。

それでも、この記事を読んでいただけたことに感謝します。

もしもう少しSDGsなどについて知りたいな、話したいなと思われた方はRe:melosマガジンの他の記事を読んでみてください。

今後も社会問題が解決されつづけるエコシステムを創れるように、SDGsに関する情報やSDGs(ソーシャル)ビジネス・マーケティングに関する情報を発信しつづけます。

今後ともよろしくお願いします!

【参考・引用】

*1:一般社団法人 環境パートナーシップ会議(2016).パートナーシップでつくる私たちの世界-国連の新しい目標-2030年に向けて-.6-7

*2:堀内雄斗(2019).「子どもの貧困」の把握と対策 国立国会図書館調査と情報―ISSUE BRIEF― 1061,2

ABOUT ME
南 翔伍
南 翔伍
株式会社SHIRO 代表取締役。「貧困・虐待・非行の原体験 × ソーシャルビジネス経験」で社会問題解決に挑戦しつづける / 大学時代NPO法人と立ち上げた団体で貧困と障害をテーマに100名以上の子ども達を支援 / デジタルマーケティングのベンチャー企業での修行後、発達障害者支援をするソーシャルカンパニー、Web上で被害者と弁護士をつなぐリーガルテック企業でマーケティング責任者・事業統括マネージャーを務める / ソーシャルビジネス/社会的責任マーケティングに関する講演・ワークショップをしつつ、プラットフォームとWebメディアのグロースに専念